リスニングが苦手だという英語学習者は多いと思います。原因はいくつかあると思いますが、その中の1つに「英語の音声変化の事を知らない」「英語の音声変化に慣れていない」というものがあります。
例えば「know him」は「ノウヒム」というよりは「ノウイム」と聞こえたりします。
check outは「チェックアウト」ではなく「チェッカウトゥ」に聞こえます。
get togetherはt同士が重なるためtが一つ脱落し「ゲッ・トゥゲザー」と聞こえたりします。
また、ディクテーション学習をしていて聞き取れなかった時にも「あ、ここのtが脱落したからこういう風に聞こえているのね」と、聞き取れなかった原因を自分で把握できるようにもなります。
つまり、今後のリスニング学習の効果を高める事に繋がります。
ひと通り良くある音声変化を学ぶには「英語リスニングのお医者さん」という本がおすすめです。
シリーズ累計10万部。私自身も使用した事がありますが、音声変化を全く知らない状態からある程度のレベルになるのにはおすすめです。
特に、「読んだら分かるけど、聞いたらわからない」という状況が頻繁にある人は、この本に取り組む事で劇的に改善できる可能性があります。
これから使ってみようと思う人の為に、今回は中身を評価・レビューします。
目次
英語リスニングのお医者さんで学べる事
概要
学べるのは、下記の音変化です。
- 短縮(例:I am → I'm。will not → won't)
- 連結(例:fill out(フィルアウトではなく、フィラウト))
- 脱落(例:take care(テイクアウトではなく、テイケア))
- 同化(例:would you(ウッドユーではなく、ウッヂゥ)
- 弱形(例:let him(レットヒムではなく、レティム)
- 変形(例:butter(バターではなくバラー)
- 数字(例:thirtyとthirteen)
- カタカナ英語(例:orange juice(オレンジジュースではなく、オレンジュー)
音変化とは少し違いますが、日本人が苦手なものに「数字」と「カタカナ英語」がありますので、その2つも加えて8種類の音変化を学ぶ事ができます。
8種類について、詳細は下記で紹介します。
短縮
「I am → I'm」「You are →You're」「will not → won't」などの、いわゆる2単語が1単語にまとまって音変化してしまう現象を学べるセクションです。
ここは中学英語でおさえている人も多いですし、発音もすでに知っていたりするので、あまり苦手な人はいないかなと思うセクションです。
ちょっとやってみて、必要なければパスでも良いと思います。
連結(リエゾン・リンキング)
連結は、tell us(テルアスではなく、テラス)のように「"前の単語の最後の音の子音"と、"後ろの単語の最初の母音"が繋がって発音される現象」の事です。
連結ではなく「リエゾン」や「リンキング」と呼ばれたりもします。
- join us(ジョインアスではなく、ジョイナス)
- Can I(キャンアイではなく、キャナイ)
- in an hour(インアンアワーではなく、イナナワー)
- pick it up(ピックイットアップではなく、ピッキタプ)
上記はあくまでも一例ですが、上のような「音が連結して予想と違うように聞こえる」という音声変化を学ぶ事ができるセクションです。
脱落(リダクション)
脱落は、get toghere(ゲットトゥゲザーではなく、ゲッ・トゥゲザー)などの、同じ子音が重なって続く場合、同じ音は繰り返されず1つ脱落して発音される現象の事です。
「リダクション」と呼ばれる事もあります。
- hot dog(ホットドッグではなく、ホッ・ドッ)
- could hear(クッドヒアーではなく、クッ・ヒア)
- so big(ソービッグではなく、ソービッ)
上記は一例ですが、上のような「音が脱落する」という音声変化を学ぶ事ができるセクションです。
同化
同化は、本書ではmeet you(ミートユーではなく、ミーチュー)のように、スピードが早くなると全く違う音になってしまう音変化をさしているようです。
また「want to → wanna」や「going to → gonna」のように全く違う音に変化するものもこのセクションで紹介されています。
弱形
let him(レットヒムではなく、レティム)のように「あまり意味のある情報をもたない場合、その単語は早く、弱く、あいまいに発音される現象」の事です。
「代名詞は弱くなる」「aやtheなどの冠詞は弱くなる」「前置詞や接続詞は弱くなる」という事を集中的に学ぶ事ができるセクションです。
変形(フラッピング)
better(ベターではなく、ベラー)など、[t]が母音に挟まれると「ラ行」に聞こえるというような現象を学べるセクションです。
このように「ある条件でtがrのような音に変形する現象の事をフラッピング(flapping)」と言います。
ちなみに、[t]が母音に挟まれるというのは1単語内である必要はなく2単語に渡る事もあります。
例えば「put itは、プリットゥ」のように聞こえます。
ルールさえ知ってしまえば聞き取りは難しくないと思いますので、知らない人はしっかり学習しておくと良いでしょう。
数字
「thirteenとthirtyの違いは前と後ろのどちらに強調があるかである」など、主に数字周りで良くある現象について解説したセクションです。
twentyがトゥウェンティーではなくトゥエニーに聞こえるなど、数字に周りを勉強できます。
「3桁4桁の英語の聴き取り」「小数点の聴き取り」「序数(1/3(三分の1)などの事)」など、日本人が苦手な数字についてまとめて学習できるセクションです。
カタカナ英語
allergyはアレルギーではなくアレジーと発音します。
ウイルスは「wで始まる単語かな」と想像したりしますが、英語ではvirus(ヴァイラス)です。
カタカナ英語と原音が全く違う場合、正しい発音を知らないと聞き取る事ができません。
このような、カタカナ英語関係で間違いやすいものをまとめて学習する事ができます。
英語リスニングのお医者さんに関するQ and A
音声CDは付属しているか?
mp3ファイルはあるか?
アプリはあるか?
なんでお医者さんなの?
「英語リスニングのお医者さん」まとめ
- 短縮(例:I am → I'm。will not → won't)
- 連結(リエゾン・リンキング)(例:fill out(フィルアウトではなく、フィラウト))
- 脱落(リダクション)(例:take care(テイクアウトではなく、テイケア))
- 同化(例:would you(ウッドユーではなく、ウッヂゥ)
- 弱形(例:let him(レットヒムではなく、レティム)
- 変形(フラッピング)(例:butter(バターではなくバラー)
- 数字(例:thirtyとthirteen)
- カタカナ英語(例:orange juice(オレンジジュースではなく、オレンジュー)
上記の8種類の音声変化をまとめて学べる点が評価できる書籍です。
個人的に、特に「連結、脱落、同化、弱形、変形」をおさえるのは、リスニング力を高めていく上で重要な所かなと思います。
この「英語リスニングのお医者さん」は、音声変化を知らなかったり、苦手意識がある人は取り組んでみると良いでしょう。
追記:音声変化を学ぶなら下記教材の方が良さそうです
書籍の発売からも月日がだいぶ経ちました。その間、英語学習教材もどんどん新しいのが出てきます。
昔は音声変化ならこの「英語リスニングのお医者さん」がベストかなと思っていましたが、現在は下記のリクルートが提供するスタディサプリENGLISH内のコンテンツ「音声変化ディクテーション」をやる方が良いと思っています。
書籍は永久に使えるのと、手元に置いて全体を見返せるというメリットがありますが「ディクテーションを用いて実際にトレーニングしながら学ぶ」という方法の方が、断然効果は出る、というのが個人的見解です。
興味あれば下記記事も参考にしてみてください。
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英語の音声変化【リンキング・リエゾン等】を習得するアプリ(教材)と具体的方法